心エコー法による診断および治療の発展に貢献する
心エコー図検査は、機能的・構造的異常を即座に捉えることができる利便性、繰り返し検査を可能とさせる低侵襲性とコストパフォーマンスを有し、がん診療において大きな役割を果たしている。
心毒性を有する抗がん薬を使用する際には、開始前にまず心エコー図検査を行い、ベースラインの心機能や心疾患の有無を評価・記録することで、その後の変化をとらえやすくなる。
心疾患の既往やベースラインの心機能の低下はがん治療関連心機能障害(CTRCD)のハイリスクであり、より心毒性の少ない薬剤への変更や、心保護薬の予防的投与、CTRCDモニタリングの強化、循環器内科医の併診などの対策が求められる。
CTRCDは一般的に左室収縮率(LVEF)がベースラインより10%以上の低下かつ50%未満になった時と定義されるが、その基準を満たさない場合でもスペックルトラッキング法での長軸方向のグローバルストレイン(GLS)値の15%以上の相対的な低下があればCTRCDが強く示唆される。
また、高齢者などではLVEFが低下しない心不全(HFpEF)の病態を呈する場合があり、注意が必要である。
GLSの低下は免疫チェックポイント阻害薬関連心筋炎でもLVEFが低下する前に出現するため、心筋炎の早期のマーカーとして使用できる可能性がある。
がん薬物療法終了後も、遠隔期の心毒性を認める場合もあり、特に小児では長期的にフォローアップを行うことが重要である。
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第73回症例検討会抄録集
© 2015 東京心エコー図研究会